オーガニックビル
名称
オーガニックビル
所在地
大阪市中央区
用途
事務所・店舗・駐車場
延べ面積
7,052.86㎡
構造・規模
SRC造地下1階地上9階
建築主
(株)小倉屋山本
施工
コーナン建設(株)
竣工
1993年2月
担当業務
基本設計、実施設計、工事監理
備考
グッドデザイン賞
無味乾燥な都市空間に緑を取り込む
インディーズブランドショップや個性派カフェが集まり、大阪で最もクリエイティブなエリアのひとつが「南船場」です。その活性化のきっかけにもなり、ランドマークとして親しまれているのが、「オーガニックビル」です。ベネチアの哲学的アーチストGaetano Pesceのインスピレーションを、建築作品として都市空間に表現しました。
このビルを企画した株式会社小倉屋山本は、昆布製品の製造・販売を本業とする大阪・船場の老舗です。昆布という自然の産物を取り扱うため、企業理念のひとつに自然との共生を掲げておられます。この企業理念を設計コンセプトに表現することが重要なポイントとなり、無味乾燥な都市空間に、いかに緑を取り込むかという発想で計画が始まりました。
ビル壁面緑化の嚆矢となった建築
都心部での建築企画は敷地に限りがあり、平面的に広がりを持たせることは、非常に難しいものがあります。そこで外壁に大きさも形も違う、あらゆる種類の植物を集積させたバーティカルガーデン(垂直庭)を構築することを提案しました。
この垂直庭は、それぞれの特性を持った「個」が有機的に結びつき、全体を構築している姿を表現しています。外壁のデザインに関しても、それぞれが思い思いに伸びる竹林のイメージを混入することにより、より有機的な表情となるよう意図しています。与えられた厳しい環境の中で精一杯生きる植物の姿は、全体に対する「個」としての自己表現(個性)の重要性をわれわれに示唆しているのではないでしょうか。